読書メモー田中康二『本居宣長』ー
本居宣長は漢心(からごころ)を排して「もののあわれを知る」ことの重要性を説いた人だ。漢心とは当時では中国の思想で、今でいうと海外思想のことだ。
また本居宣長は源氏物語の心髄(しんずい)は何かと言うと、「もののあわれを知る」の一言に尽きると言っていた。
では「もののあわれを知る」とは何なのか。
春に風に吹かれて桜が散るのを見ると、人は風情がある、美しい、情緒があると感じる。五感で感じて、それを認識して、何かしらの感情が起こること、そういうことを「もののあわれを知る」と言っている。
つまり我々日本人の原点はそこにあるのであり、人や自然に触れることにより、何らかの感情が起きること、そういうことを「もののあわれ知る」というのである。
でも、今の日本はきっと西洋の近代化が進んで、きっとそういうものも失われつつあるんだろうなと感じる。
車やオーディオは昔の方が明らかに五感に訴えるものが多かったし、家のつくりもそう感じる。現代の製造物はだいたいスマートな作りだが、スマートすぎて何か五感に訴えるものが少なくなってきた感じだ。
「もののあわれを知る」僕にとっては何がそう感じさせるのか、もう一度考えてみる必要がありそうだ。