読書メモー養老孟司『こまった人』ー 自分らしさについて考えてみる
養老孟司さんの本をまた図書館で借りたが、一気読みして内容はあまり覚えてない。
自分らしさ、個性を尊重という風潮はどこからきたのか。
キリスト教では霊魂は不滅である。つまり、確固たる個人というのものが存在することが前提である。
そこから近代の個人の考えが生まれた。
そんなことが書かれていた。
つまり、個人という考えはそもそも輸入思想なのだ。
明治維新と戦後に西洋思想が取り入れられたわけだから、考えてみると個人という考え方の歴史は浅い。そもそも日本人に合っているのかもよくわからない。
ただ、僕らの世代(僕は現在34歳)になってなぜ個性だの自分らしさだのと言われるようになったのか。
それは日本人の目標が見失われたからだと思う。高度経済成長の時は個性だの考えなくても良かった時代だった。なぜなら彼からは戦後復興という大きな目標があったからだ。そして確かに自分たちの仕事が確実に日本を豊かにしているという実感を感じていた。
でも僕らの時代は違った。ある程度物質的に満たされてしまい、戦後復興の目標は達成され次なる目標を見失ってしまった。しかも日本は長期にわたる不景気を経験し、リストラ、就職氷河期を経験した。
目標を失い、不景気を経験し、リストラされる。これは一人一人の生きる目標を失ってしまったことを意味するんじゃないか。
何のために働くのか。そういう大前提なる目標が失われてしまった。そして物質的に満たされても、心は満たされていない
こういう状況が個人の存在価値の危機を生んだので、個性とか自分らしさとか言われるようになったんだと思う。