ブロック塀の記憶
ある日の夕方、僕は近所を散歩していた
昼間はこの季節にしては暑く、シャツ一枚でも汗ばむぐらいだった
夕方になると風が涼しく感じられ、気持ちよく歩いていた
そろそろ帰ろうかと想い、畑のある通りから、比較的車がある通りへ行き、歩道を歩いていた
あるとき右腕から熱気を感じた
赤外線の電気ストーブのような熱気だ
もう日も暮れかかりだいぶ涼しくなったのに
右に向くと、家のブロック塀があった
ブロック塀が昼間の暑さを残してたんだ
昼間の記憶を夕方歩いている僕に伝えている
そうとも思った
コンビニのある交差点が見えてきた
電柱のふもとには花束と缶とペットボトルが置かれていた
誰かがこの電柱付近で亡くなったのかもしれない
安らかに眠ってください
そう心の中で黙とうした
もしかしたら電柱や周りのモノは記憶しているのかもしれない
あの昼間の暑さの記憶したブロック塀のように
誰かに記憶してもらっている
そう思うと気持ちが少し和らいだ
哀しみと和らいだ気持ちを両方に抱えながら僕は散歩から帰った来た