ぽろっぽの日記

-心に舞う蛍を追いかけて-

小説の読み方が変わった~小説から醸し出される雰囲気を味わう~

こんばんは、ぽろっぽです。今日は読書についてのエントリです。

皆さんは小説を読むとき、どんな読み方をされますか。

 

とにかく先の展開を知りたいので早く読む

文章を味わいながら読む

小説の中にある名言、格言的なものに注意して読む

 

一言で小説を読むといっても、十人十色ですよね。読み手によって小説の読み方も変わる。これも小説の醍醐味ではないでしょうか。


以前、僕は小説を読む時に、小説の中にある名言、格言的なものを求めていました。
物語を楽しむというよりも、どちらかというとハウツー本を読むときと同じ読み方だったのかもしれません。

人生、世の中の真理を知りたい

そんな欲求を満たすために小説を読んでいたのかもしれません。

しかし今は小説全体の雰囲気を楽しむようになりました。一つ一つの文章に注目するだけでなく、一つ一つの文章により構成される小説全体の雰囲気を味わうようになりました。雰囲気を味わうことによって初めて得られるものがあり、その重要さを最近になり知りました。
雰囲気を味わうと、あたかも小説の世界に自分が移り住んだ感覚になります。それにより価値観、世界観が広がることを実感しました。

 

特にカフカの「城」という作品はその代表例でした。以前の僕なら絶対にこの作品の良さはわからなかったと思います。この「城」という作品は一つ一つの文章、言葉も素晴らしいですが、何よりもすごいところは、文章によって醸し出される雰囲気です。「城」についてのあらすじをちょっと書きたい思います。

 

主人公Kは測量士として、とあるお城の役人に雇われることになって、そのお城に向かいます。しかし、いざ城の手前の村(城下町?)に着いてみると、手違いで測量士としてKは雇われないことが判明します。なんとか役人と交渉しようと試みるとも、役人と会う機会が中々得られない。村から出て、城に直接行こうとするも、城にはどうしてもいけない。おまけに村人は幽霊のような、実体のない人が多く、村人は城に怖れを抱いてる。そして村人はまったくお城の役人とも会ったことがないのに、役人との間接的な関り(役人の雑用など)を名誉だと思っている。

 

正確ではありませんが、ざっとこんな感じだったと思います。

 

城の外部から来たK、また読者の僕たちから見ると、村人、お城はとにかく実体のつかめない不思議で奇妙、そして不気味とも言える存在に映ります。

 

カフカの名言や格言ではなく、文章全体からでる雰囲気でこの「城」の独特な世界観を描いてます。

 

僕としてはこれはちょっとした事件でした。というのも、僕たちの現実の社会も、もしかしたら測量士Kからみたら非常に奇妙な社会かもしれない。僕たちは実体のよくわからない権力にすがろうとしますし、会社などの組織に怖れを抱いています。

まさに村人が僕たちであり、城は組織、会社、権力を象徴しているようです。

そう考えると「城」は非現実的の物語かと思いきや、僕たちの社会を恐ろしいぐらい現実的に描いています。

 

カフカの「城」を見ると、自分を取り巻く社会そのものについて、ゼロから再度考えざるを得ませんでした。

 

このように小説はその小説の世界の雰囲気を味わうことによって、自分の価値観を大きく変える要素があることを知りました。雰囲気を味わうからこそ価値観が変わるのです。これはハウツー本や実学書では中々体験できないことではないでしょうか。論理的にわかりやすくても雰囲気が伝わるとは限らないからです。

 

小説をますます楽しめるようになったので、年末年始は小説三昧で過ごしたいと思います。